元赤坂「辻留」

今月の牧元定食「そうめん」。   

食べ歩き ,

今月の牧元定食
「辻留」で毎月人数を集め、料理や器、お軸やお花の解説をしている。
僕は食べないため、最後の留椀とご飯のタイミングで、特別に定食を出していただける。
昨日は素麺だった。
もうこれ以上ないという完璧な仕立てである。
ざるには一口ずつに束ねられた素麺が盛られ、一番出汁と薄口、みりんなどで整えられた上品な味わいの、つけ汁が添えられる。
鱧の唐揚げとシシトウの小皿が控え、奥には薬味が並ぶ。
素麺の食感を損なわぬよう、こんなに細く切れますかという、紫蘇と錦糸卵に茗荷、椎茸の飴煮の細切り、おろし生姜に炒りゴマ。
そしてゴマだれとごま油である。
まずはつけ汁におろし生姜を落として食べ、紫蘇、茗荷と順に落とす。
紫蘇とミョウガは素麺をつけ汁に浸したところへ、上から少しかけた方が香りが生きる、
そしてゴマや椎茸、錦糸卵を参戦させ、次にそれぞれの組み合わせも楽しむ。
途中でごま油をつけ汁に落とす。
この素麺は、油を塗るときに、ごま油を使っているので、相性がいい。
ゴマだれもよく合う。
ゴマだれには紫蘇を落として食べるのがおいしいな。
こうして様々な食べ方を試しながら、途中で熱々の鱧の唐揚げをかじる。
これまた幸せが体の奥からせり上がってくる。
素麺はいつもこうして食べたいなと、叶わぬ願いを抱きながら箸を置く。
「辻留」にて